1421 バベルの図書館30 逃げてゆく鏡

ずっと読もうと思っていた。たぶんパピーニの名を知ったのは辻潤からで、そこから計算すると、かれこれ10年くらいは経過している。辻潤の「にひるの漚」*1にパピーニの自叙伝が引用してあった。*2 よほどお気に入りだったらしく、パピーニを指して私の親友と…

1419 不思議の国のアリス

古書店に50円で置いてあったのを見つけたので購入。ここ最近はぜんぜん本が読めなかったのでリハビリを兼ねて読んでみたところ、これがなかなか良かった。いろんな翻訳が出てると思うけど、これは「新しい世代が時代のずれによる抵抗を感ずることなく読める…

1376 虚無思想研究 第一巻・第一号

■循環論証の新心理概要(1) 古谷栄一公理哲学に対する反論というか、対立する立場ですよという姿勢を見せているだけの文章で、論の中身についてはまだ何も書かれていない。 ■ふらぐめんた 武林無想庵非常に良かった。辻潤が自分に似ているといった通り、同…

1375 オーレリア

■統合失調症のような連想の飛躍が多くあるようだ。たとえば57ページあたりにもひとつある。喧嘩の制裁にはいろうとしたができなかった場面で、たまたまそのとき通りがかった労働者が息子を抱えていたということから、その労働者をキリストをかついだ聖クリス…

1374 ムッシュー・テスト

■小説というには奇怪な作品。ムッシュー・テストという特異な精神性の記録として読む他ない。ムッシュー・テストは「すべてが可能でしかも何もしない」でいるのを最上だと考える尊大な男だ。この男がヴァレリーの内面の理想だったようだが、その感覚には覚え…

キリンの洗濯

二日に一度この部屋で キリンの洗濯をするキリンは首が長いので隠してもついつい窓からはみでてしまう 高階杞一詩集*1を読んだ。裏表紙の紹介文に「ユーモアとペーソスで未知なる世界へと軽やかに誘う代表作『キリンの洗濯』」という記述があるのだが、『キ…

無心のダイナミズム

『無心論』が語るのは、「心は無い」という一点である。心が実体としては存在しない。あるいは、認識する・生活する……など、そうしたすべての「はたらき」が重要なのであって、その先に実体としての<心>を求めてはいけない。したがって、「あらゆる出来事…