9GOATS BLACK OUT『CALLING』

 カリスマボーカルryoを擁する9GOATS BLACK OUTのLAST ALBUM。全11曲。2012年12月19日発売。

2013年2月を持って解散を決めた9GOATS BLACK OUTの最後のアルバム。 「時間の移ろいと終りの形」切なさを伴い、そして光を纏った作品。 割れた電球から溢れる光のジャケットは、儚さも希望も込められ複雑な感情が滲み出る。 脆さも弱さも携えた美しく強いラストアルバム。
9GOATS BLACK OUT "CALLING"

 9GOATSといえばダークなイメージが強いバンドだったけど、この作品はオフィシャルから引用した通りジャケットでほとばしっているような力強い光を感じる明るいアルバムだ。

 『TANATOS』の時は耳に馴染むまでずいぶんかかったけれど、今回はすぐに心地よさを感じた。メロディアスな曲ばかりだったから入ってきやすかったのだと思う。「any」もそうだったけど「Rip Current」みたいなわかりやすいキャッチーな曲は、9GOATSではやらないと思ってた。

 でもどんな曲をやってもryoさんが歌えば9GOATSにはなるから違和感はない。彼が歌えば成立するのだ。そういうことを考えるとやっぱりカリスマだと感じる。ただカリスマといっても「強烈な個性」なんて形容は彼の場合そぐわないように思う。暗闇の中で何がどこにあるのかもわからない状態なのに、彼だけははっきりとそこにいることがわかるような存在感。そういうニュアンスのカリスマなんだって気づいた。それって意味合いとしては光と同じだ。

 このアルバム、11曲もあるのに聴いてるとすぐに終わってしまう。ミニアルバムみたいな印象。曲数こそ11曲あるが1曲の長さが全体的に短めで全部で40分しかない。曲の質が高いから余計名残惜しい。しかも最後の「8秒」の終わり方がいかにも「これで最後だよ」って言っているように感じて聴くたび寂しくなる。本当に最後だから。

 解散した後の予定はもう決まっているのだろうか。ryoさんにはずっと歌っていてほしい。

 お気に入り曲 「Rip Current」「8秒」