読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

睡魔ちゃん

 強力な睡魔によって昨晩から12時間ほど人事不省の状態に陥っていた。たしかにとんでもなく疲れた気はしていたのだけど、なにがそんなにわたしを疲らしめたのだろうと考えてもよくわからない。Sleep Cycle*1によるとここ2週間は平均して8時間は眠っているようなので、睡眠不足でも無さそうだ。

 自覚していることと言えば、昨日は一日中頭が回っていなかったことくらい。お昼くらいに「まぶたちゃん今日ちょっと変だよ」と言われたのだから客観的にもどこかしら変だったのだろう。*2「あったかくなると変な人が出るという噂ですので気をつけた方が良いですよ」と返答したかったのだけれど、それもできないくらいゆとりがなかった。だらしなく笑ってごまかしたわたしは「変な人」のコスプレとしては完成度が高かっただろう。

 最近躁気味ではあったのだと思う。死ぬことでさえいま考えることでは無いような気がしていた。寺山修司が言うには「死は生につつまれていて、生と同時にしか実存しない」のだから生きているうちに死について考えつくさねばならないというのに不実なことであるが、死を考えなくてもいいという状態には心を春めかせる効果があった。そのおかげで心身の疲労を無視できていたのがここにきて限界を迎えたのだろうという仮説が、突然発生した疲労の原因としてわたしの中で優位になっている。というのも12時間眠ったあとのわたしが死ぬことしか考えていなかったからだ。直感的に反動ではないかと疑うのも故なしのことではないのである。半日にわたってわたしに取り憑いていた睡魔にいっそのこと食べられてしまって目覚めなければよかったのに、などと考えるのも仕方の無いことなのだ。

 睡魔の食事というのはつまり人の意識を食べるということだ。それは夢を食べるバクと同様に形而上の行いであり、捕食されるわたしたちに痛みも傷痕も残さない。そのため「睡魔ちゃん」としてキャラクター化され、生に飽いた市民に求められるのもまた当然の話なのである。

*1:iPhoneの有料アプリ。睡眠の時間と質を折れ線グラフで記録したり、眠りの浅いところでアラームを鳴らしたりする。有料といっても¥85で購入できた。

*2:注意。真剣な調子で言われたわけではありません。真剣に言われてしまうと大変なことになってしまう。具体的には辞職の危機なのである。そもそもわたしはちょっとどころでなく頭がおかしいのだから。

広告を非表示にする