第0夜 夢ダイバー見習い

 最近、スティーヴン・ラバージ著『明晰夢―夢見の技法』を読んだ。

 どちらも今年だがエルヴェ・ド・サン=ドニ著『夢の操縦法』やクリストファー・ノーラン監督『インセプション』を見ていたし、それ以前からも多少明晰夢に興味があってネットでちょっと調べてみたりもしたけど、実際に体験できたことはなかった。

 ラバージは明晰夢を見る人のことを「オーナイロノーツ(=夢航行士と訳されている)」と呼んでいるが、夢航行士というのは語呂が悪いしイメージと噛み合ないため、ぼくは夢ダイバーと呼ぶことにする。水上を進むというより潜り込むイメージだからだ。本に明晰夢を見る方法がいくつか載っていたのでそれを使って習得していこうと思う。今日からぼくは夢ダイバー見習いである。

目的

 一言でいえば単なる好奇心以上のものではない。

 現実のリアルさよりも空想の自由さ*1を興がるタイプだが、自由な空想がリアリティを持つのを悪いこととは捉えないため、その手法として明晰夢には関心があるというわけだ。

 ラバージも書いているが、現実(覚醒時)だろうと空想(夢)だろうとすべては脳が処理している電気信号を感じているだけなのであってリアリティというのはその信号の強弱によるものである。強ければ現実、弱ければ空想と判断されるわけだ。覚せい剤や統合失調症による幻覚は通常時の判断基準を上回って空想が強力な信号を送ったことによるものだと言えるだろう。

 ラバージの本には明晰夢を見ることのメリットが記載してあったかと思うので、興味のある方はそちらを参照していただきたい。この本はこれから明晰夢を見ようとする人にとって悪いものではない。

初期値

  • 明晰夢=夢の中で自分が夢を見ていることに気づいている夢
  • 明晰夢体験:未経験
  • 睡眠時間:平均5〜7時間程度
  • 夢日記:起きた時に覚えていたら書くようにしている。かれこれ7ヶ月ほど続けている。ただそんなに真剣にやっていなかったからか、夢を覚えていること自体がさほど多くなかった。

条件

 明晰夢を習得する条件としてラバージは下記の2点を挙げている。

  1. 意欲
  2. 夢をよく思い出すこと

 明晰夢には注意力の統御が要求されるため必要な労力を払うだけの意欲がなければならず、夢を思い出せなければ明晰夢を思い出すこともない、ということらしい。

方法

 ラバージはいくつか方法を載せているが、心理学者パウル・トーレイによる第一の方法(本の中では第三の方法まで紹介してある)とラバージの数を数える方法が両立できそうなので、しばらくこれを試す。

トーレイの方法
  • できるだけ頻繁に「いま夢を見ているか否か」を自問する(一日五回以上)。

 これだけで大抵の人は一ヶ月以内に明晰夢を見れると彼(トーレイ)は言っているようだ。

ラバージの方法
  • 布団の中で眠りに就くまで数を数える。(「一つ私は夢を見ている、二つ私は夢を見ている、三つ私は……以下繰り返し」)

 これをやっていると、そのうち夢を見ている自分を発見するとのことである。それだけではあるが、数を数える時に「ある程度の注意深さの維持」が必要とも書いてある。入眠前からある程度「これは夢ではないか」と疑う姿勢で数えていないと意味がないよということだろうと思う。

 彼は「私は夢を見ている」の部分はなくても問題ないとも言っているが、あった方が「ある程度の注意深さ」を維持しやすい気がする。

*1:ぼくが空想を操る自由さではなく、空想がぼくを無視して自由に発展していくことを指す。