本日のハッピーエンド

 ハッピーエンドは毎日やってくる。終わることがハッピーだからだ。恋人ができてハッピーになるのは恋人探しが終わったからだ。内定が出てハッピーになるのは就活が終わったからだ。同じことで憂鬱になるのは社員生活の始まりを見ているからだ。終わりを見なくてはならない。一続きの過程を収束させることで人は安心する。一つ一つの区切りが細かい方が単純に多く安堵できる。大したことでもないのにいちいち喜べる人はそれがうまいのだ。そういう人ほどしあわせそうに見える。そんなわけで目先の目標は低ければ低いほど良い。安心感のなかでハピネスは育っていくのです。

 一日は二十四時間である。というのは思い込みだ。人間の勝手な決めつけに過ぎない。だが慣習は都合よく利用すべきだ。この世のすべてはきみが利用するためにあります。ぼくが利用するためにあります。

 そんなわけで今日はもう終わり。明日のことは考えない。明日に気を取られて本日のハッピーエンドを見逃さないように。おやすみなさい。