日記の書き方がわからない

 死体を読むと僅かばかりの物語が溢れる。もうどうなってもいいのかもなという気分を離さないようにしてベッドに寝転ぶ。世界には結局何が生きているのだろう。孤独な部屋にうさぎコウモリが慎ましやかに飛んでいる。あいつとぼくを結ぶと部屋の対角線ができる。許容範囲の中でできる限り離れた他者に声をかける。返事を期待しないでいるとそのままの結果が現れる。なんでもそうだ。当たり前の出来事ばかりが続く。見える世界に興味が湧かないのも無理はない。現実を朦朧とさせてぼく自身のなにかを間違える時にだけすこし生きている感じがする。因果が多少もつれてもどうせ生きている間は生きているのだ。地球が宇宙に沈没するにつれて夜が深くなる。退屈でないことはひとつもない。書き残したいこともひとつもない。ただぼくがぼくじゃなくなるように木星で猫を飼うことなどを考えている。