夏の骨格 胡蝶骨編

2018/07/28

試験的にiAWriterというエディタを使い始めた。しばらく愛用していたBywordの挙動が久しぶりにおかしくなったからだ。発生しているのは、最大化するとファイルの上の部分が一部見えなくなってしまうという事象なのだが、最大化しないで使うということがほぼないため、これでは困るわけだ。これまでにも同じような症状が何度かあり、そのたびにいいエディタがないか探すのだが決定的な代替品を得ることができていなかった。そうこうしている内になぜか直ってしまったということの繰り返しで、何度も同じ症状を目撃していながら有効な回復手段をいまだに持ち合わせていない。そんなわけで今回も例によって代替となるエディタはないだろうかと幾度目かの探索に乗り出したというわけだ。ずっと以前からiAWriterは存在していたし、目にも入っていたのだが、有料でそこそこ高かったからスルーしていた。ぼくが求めている最低条件は、MaciOSとの間でシームレスに同期してくれることだ。Bywordはその点ふつうにクリアしていて、加えて見た目のシンプルさと使いやすさがあった。いま使用している感じだとiAWriterもその点は問題なさそうだ。それに加えてライブラリ機能もあってファイル選択が容易だ。こういう機能も欲しかったということを思い出した。それもあって金を払う気になった。

それとは別にFlowstateという異質なテキストエディタも購入してしまった。これは5秒以内に書かないとそれまでに書いた内容が消えてしまうというものだ。書き終わるまでの制限時間も設定できる。自動筆記するのに便利そうだ。

今日は朝から眠かった。戸塚に行く予定もあったので、時間までツァラ詩集を読んで今日は終わりだなあと思っていた。台風がひどいということで昼過ぎくらいに戸塚行きは中止になった。そうなると時間が空いてしまう。だけどなんだか気持ちが落ち着かなくて何かを始められるような感じでもない。何も考えずハルヒを見始めた。22話から26話までみた。ちょうど文化祭に出展する映画制作が無事に終わって、文化祭当日を迎えて、軽音部に混じってハルヒが歌うところまでの話だ。

長門キョンに対してみくるビームの説明をしているシーンがあって、なにやら聞いたこともない専門用語を使って難しいことを言っていた。そういうのを聞くと少し興味がわいてしまう。理解できていなかったことを理解するというのは、いま自分が描いている世界を再構築する術を得るということと同義なので、すでに馴染み深いものとなってしまった了解済みの世界の有り余る退屈からこっそり抜け出すことができるかもしれないという期待を少なからず抱いてしまうのだ。独学で勉強するのもありかなあと思うのだけどまずどういう方面の書籍で知識を補充する必要があるのかとかその辺からつまづいてしまう。というかこういうことはすでに何回もあって、だから今回はつまずくところまでいかない。まずその勉強の目標となるものがないということにあらかじめ気づいている。勉強した結果としていま想像し得るなにかを得たいと考えているわけではないので、ゴールの設定ができない。学問的情熱にそそのかされて始めるわけではないのだから、わかりやすい目標設定もなしに自分にそれを学ぶための行動を強制し続けるのがたいへん難しい。というわけで今回のこの好奇心の芽は摘み取ることにした。

ただし長門が肩にシャミセンを乗せている図は非常によいものがあったので、ぼくもそこらをうろついている猫のなかで運命を感じるような相手を見つけ次第、正式にプロポーズしたいとは思っている。猫を肩に乗せて歩いている人間、これこそ完成図という感じがする。前川佐美雄の「ぞろぞろと鳥けだものをひきつれて秋晴の街にあそび行きたし」という短歌に異常な愛着を抱いてしまう心理的根拠はそこにあった。いまハッキリとわかった。ありがとう長門。ありがとうハルヒ