映画みたい

2018/11/29

バスが遅れてきたせいで仕事に遅刻しそうになった。急いでいたから警備室の前を素通りしたら、人間がものすごい剣幕で飛び出してきて「バッジ(社員証)見せてください!」と叫んだ。映画みたいでよかった。普段これほど真に迫った人間にお目にかかることがないので、つい迫真の演技だと錯覚してしまったのだと思う。ここ最近はわざわざ社員証を見せることもなく挨拶だけして通っていた。今日の素通りとほとんど変わらない。もう顔を覚えられているんだと思っていた。それもあってさっきまで眠そうに座ってたおじさんがこんなにドラマチックに登場するだなんてまさか予想できなかった。こうやって唐突に日常を逸脱することがあり得るのだということにすこし嬉しくなった。