20190810さめほし個展「ショートケーキのうみで目が覚めたら」

#20190810 @新宿眼科画廊

さめほしさんの個展「ショートケーキのうみで目が覚めたら」を見てきた。
昨年10月の「One Scene」*1ではすこし違うタッチに挑戦していたが、今回は従来のさめほしさんらしい作品に仕上がっていた。

色彩感のよさ

これまでは流体的な線の不思議にばかり気を取られて見逃していたが、色のトーンが目の覚めるような鮮やかさで迫ってきた。目を奪われるような瑞々しさがあった。独特の液体感がさめほしさんの絵の最大の魅力だと思っているのだが、色づかいが線と相まってその魅力を助長している。そういう基本的なところをちゃんと見れたような気がする。

Sugar Cube

Sugar Cube

 

ブルーベリーガム

ブルーベリーガム

 

オレンジのうみ

オレンジのうみ

 

傘と崩壊

傘と崩壊

 

作品の存在感

「思い出せないのに忘れられない」は、今回の展示でいちばん気に入った絵だ。

夏の日の夕方、ほとんど人のいない画廊で、ぼくはこの絵を前にして呆然と立ち尽くしていた。実物を前にして絵の存在感を肌で感じていた。静かな迫力があった。スマホ越しに見る画像とはぜんぜん違うものを受け取った。これはなにもいまさら表明するまでもなく、よく言われる話ではある。それでも個人的な体験としてはわりと新鮮だった。実物を生で見たらそりゃ違うよねという意識を通過せずに、ダイレクトにそれを感じることができたのは、もしかしたら初めてだったかもしれない。

中世の人々が宗教画に恍惚とするように、しばらく絵の前から離れられなかった。絵を見ているのか、絵に見させられているのか、もうわからなくなっていた。魅了されるとはこういうことなのだった。後になってから、すでに何度目かになる理解を新鮮な気持ちで受け止めた。

思い出せないのに忘れられない

思い出せないのに忘れられない

 

今回の展示作品は抽選販売ということでしたが、すべての作品に買い手がついたようです。*2 *3おめでとうございます。 

開催概要

期間:2019年8月9日(金)~8月21日(水)
時間:12:00~20:00(最終日17:00) ※木曜休廊
会場:新宿眼科画廊 スペースM

関連リンク

https://twitter.com/Samehoshi/status/1146033533799895041?s=20