めちゃくちゃ久しぶりにガガガSPの卒業を聴いて
夢をありがとうって歌詞が最後にあるんだけど、そこまで聴いてこれすげえなって思った。男は、特に恋愛経験の浅い男は完全にこれ。ただ普通に生きてるクラスメートをやたら担ぎ上げてとんでもない夢を見ちゃうってやつ。そのクラスメートだって客観的に見れば何一つ突出した所のないどこにでもいる普通の女子生徒であって、クラスのイケメンが好きだったりするわけだし、なんならさっき「そこどいて」って言われた声といまイケメンと話し始めた声が露骨にオクターブ違ったりするわけ。それでいて女子生徒を担ぎ上げるさえない男子生徒だってそれらの諸々に気づいてはいるわけ。だけどすごいのはここからで、その諸々を踏み越えて「俺にはこの子しかいないんだ」って根拠もなく思い込む視野の狭さとそれを補強し続ける無尽蔵なエネルギーが彼にはある。これがすごい。
こないだキャバやってる子と会うという話になって、キャバクラに行ったことがないぼくからしたら勝手なイメージで派手な女が来るのかなとかもしかしてギャルみたいな感じじゃないかとか都合よく考えて会いにいくわけだけど、出て来たのが平成の怪物で思わず「よくここまで育てましたね」って言ってそのまま帰りました。思わず丁寧語になっちゃうくらいのインパクトがあったわけだけど、この怪物も昔はクラスメートの女子だったわけじゃんか。学校という特殊空間と思春期とでぐちゃぐちゃになった情念がなくなれば結局はどれも制服を着たタンパク質だろ? いや、平成の怪物と形容していいようなキャバ嬢はいないよ。いないいない。ぼくは誰とも会わなかった。
とはいえ「イケメンが好きなんだろう」とか「こっちのことは目にも入っていないんだろう」とかいう程度にはしっかり状況を把握しているわけなんだけど、その上で反対側のシーソーに乗った客観性がどっかに飛んでっちゃうくらい主観が強いわけ。なにがよかったかってこれなんだよな。ぼくはこの圧倒的な主観性がほしい。なにやったって結果は惨敗だよ。でもこれが生きてるってことだと思う。
子宮から龍宮城を釣り上げるまでは死ねない老人性のリビドーで使い物にならなくなった悲しき玩具を目の当たりにして自分が玉手箱を開けていたことに気づいてからでは遅いんだよ。いやほんとに。この意味がわかるか? おまえらにこの意味がわかるか???
動物と比べられた時の人間と機械と比べられた時の人間との間で見失われた本物の人間がどう生きるかということをきみたちも一度よく考えた方がいい。これは忠告です。ぼくだけの話ではない。
全然関係ないけど、これだけは平成のうちに言っておきたい。松坂選手、夢をありがとう。*2
*普段とだいぶ違う印象を受けると思いますがイメチェンしたわけではなくて単に取り乱しているだけです。人間性を疑わないでください。取り乱しているだけです。ここ最近ずっと取り乱しています。