個人日誌2021/01/16

■夢

夢を見た。仕事に遅れそうで焦っていた。時計を見るたびに、言われていた集合時間の認識が変わった。「なんだ余裕じゃん、焦る必要なし」とか「あれ、もうこれ間に合わないじゃん」とかいう考えがくるくる入れ変わるのを繰り返していた。目が覚めたら整骨院の予約した時間になっていた。

それに気づいてからは早かった。すぐに連絡をして、着替えて家を出た。たぶん5分くらいで家を出れたんじゃないかと思う。その合間を縫ってiPhoneにメモしていたのが、今見たら残っていた。「マジで労働は時間の無駄。何もできない、何も。」と書いてある。「もっと寝たい」と「もっと活動したい」の間を高速で思考が反復したあげくの切実な言葉だ。

 

整骨院

整骨院はもう数ヶ月通っているが、人気なだけあって腕がよいような気がしている。指で押されるたびに実感する。ここが原因だよみたいなところを正確に押してくる。腰のあたりを押す時は、背中から脚まで繋がってる神経が一緒に刺激される。その響き方が直接的すぎて、「この人が変に力を入れたらもう動けなくなるぞ」という緊張感を持って台の上に寝転んでいる。肩のあたりも施術者がちょっと触っただけでゴリゴリに凝り固まった物体の根本みたいな部分を浮き彫りにする。触られてる感覚だけでここにこんな大きさの塊があるというのがわかる。ほぐすのとほぐさないのとの境目に的確に指を入れてくる。その状態でほぐしていく。息が止まるくらいに痛い。

このゴリゴリした塊がいつも体内に埋め込まれており、毎週毎週ほぐしてもらってるのに完全になくなることはない。それでもゴリゴリは徐々に減っているはずで、通い始めた当初に比べたら日常生活においては劇的に楽なんだけど、押されると「まだこんなにあるよ」ということに気付かされる。

 

■瑛人

自宅で「瑛人の歌が流行ってるけど聴いたことない」って言ったら、恋人が動画を流してくれた。最後まで聴いて「なんで流行ったのか全然わからない」と言ったら、「陽キャの間で流行ったやつだからわかんないんだよ」と言われた。

「でも見てよ今の僕を」のあたりの歌詞は、自分のイメージが相手から下方修正されると思ってないと言えない。地下室の人間はいま以上に下がりようがないというポジションをキープしているわけで、仮に同じことを言おうとしても変化はもはや上にしか残されていないので「なんも良くなってないじゃん」で終わりの話なんだよなと思った。

 

■美容院

美容院に行く途中に線路沿いの細い道を通った。そこは車がギリ一台通れるくらいの幅しかなくて、だから普段から車はほとんど通らない。

その道のど真ん中を、じいさんランナーが駆け抜けていた。じいさんは長距離走者のユニフォームみたいな格好で、骨と皮だけになったガリガリの身体を惜しげもなく露出していた。彼は車を二台も引き連れていたので「テレビ中継とかある大会なのか?」と思ったんだけど、実をいうとそれを見ながら歩いてたぼくの方が、じいさんよりも進むスピードが速かった。トリックアートかと思った。

じいさんが道の真ん中でのろのろしてるから車は何もできずに後をついていく中継車みたいになるしか無かったのだ。そう気づいてじいさんのことが解決した瞬間に、あれ今日暖かくね?と思った。裏路地みたいな細い道なんだけど、日当たりはよくて気持ちよかった。