余白の楽しみ

 けさ歯を磨いている時に唐突に気がついた。わたしは生活を義務化してしまっている。厭わしく思うのは当然だ。時に苦しくなるのも当然だ。でも本当は義務じゃない。どうしてもそうしなければならないわけではないからだ。

 生活を楽しむための余白はたくさんある。新しいシャンプーを試すのも花を飾るのも家具を新調するのもすべて余白の楽しみだ。違う土地へ引っ越すのもそう。海外に行けば文化の違いによってきっと生活は形を変えるでしょう。だから義務じゃない。心理的にはもっと軽々しくて良いものなのだ。

 わたしは能力が乏しいため幸せを感じるには感度を高める努力をしなければならないのだが、それは幸せのレベルを下げることと同義である。些細なことにも幸せを感じるということだ。

 些細なことというのは何か。それは意識の内側に埋もれてしまった日常である。それを掘り返さなくてはいけない。そこにわたしは余白の楽しみを発見するだろう。