運命という密室にて

 ぼくが話す言葉はいずれにしろ誰にも届かない。どれだけ思いを込めても、どれだけ巧妙に話したとしても届かない。誰にも届かないから密室なのだ。密室に反響するのが主観的に悲鳴でなくなったところで結局のところ悲鳴にしか聞こえない。ただしそれを聞いているのもぼくだけだ。発する時は歓声でも、聞こえる時は悲鳴なのだ。その声はいろいろな事情を連れてくる。ぼくが悲しみの世界の住人だということを知らしめる。そのための声。そのための悲鳴。どうせなら喜びの悲鳴で満たそう、ぼくの密室。ああ違う。ぼくが密室なのだ。