621-630

621 初雪が初恋溶かし冬来たる

622 深海を時計に伏せて遅るる日

623 雪ひわず初夏借りきても真白きや

624 球体の若葉ただれし後の世も

625 人魚歯す師走サンタへ鬼ごっこ

626 天窓の開く天から水を垂る

627 忘日の某忌み月の階段を

628 錯覚の鶴黄泉返す白昼夢

629 ハズレくじ古代小娘記念日に

630 形而上的引きこもり者に唯を添う