読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

大森靖子の続・実験室を見てきた。

 こないだの日曜日、新宿ロフトプラスワン大森靖子を見てきた。はじめて行く場所だったからびくびくしながら入っていくと予想以上にステージとの距離が近い。ドキドキしてきた。ここに大森靖子が立つのだ。ステージ正面にはテーブルと椅子が比較的並んで置いてある。奥の方には常連客のような空気を漂わせたおじさま数名。楽しそうでよいなあとしばし眺める。忙しく動いて注文をとる店員に気づいてメニューがどこかにあるのかなと探す。探す。

 初心者丸出しできょろきょろしている自分の姿をやっと自覚して適当な椅子に座ると、後ろのテーブルにメニューが載っていたのを見つけたので人の目を盗んでひったくる。ちらっと見てジントニックを注文したところで少し安心する。安心したところに知らない人間がこの狭い空間にたくさんいるのだということを思い出して窒息しそうになったから、ぼくの持ち歩ける友達であるところのボードレールさん*1を開いて時間を飛ばしていたら、まわりがガヤガヤしてきて間もなく女性が三人ステージ上に登場した。

 生まれるときに視力の設定をおろそかにしてしまったせいで(裸眼で0.1以下)昔から人間の顔はどれものっぺらぼうにしか見えていないのだけど、一番右端に座ってるのっぺらぼうが大森さんだということだけはなんとか確認できた。

 それからステージ上の女性三人がトークをしはじめたのだが、これがなかなか楽しい。ただし少し妙なこともあって、妙齢の女性が集まって人前で話をしていたのだからこんなことは何かの間違いとは思うんだけど、そのトークの内容に対して「エグい」だとか「生々しい」だとかいう印象だけが残っていてなんとも申し訳がない。

 その後、大森さん以外のお二人は降壇して、ついに大森靖子の弾き語りライブが始まった。「やっぱノスタルジックJ-pop いいなあ」とか「呪いは水色もっと聴いてたいなあ」とか思ってたらステージ上の大森さんが前の方に座り込んでマイクを通さずに歌い始めた。と思ったら客席を順繰りにひとりひとり凝視していて異様なくらいだった。もはや目が合いそうになったら逸らしてしまうレベルだった。何かのインタビューで「お客さんの顔はみんな覚えてるんですよ」的なことを言っていたように思うけど、これのことかと思った。これなら客の顔だって覚えちゃうだろうなというくらいの気迫だった。客席でぼくはずっと蛇に睨まれたカエルでした。

 来月も同じ場所でイベントがあるとのことだったので、さっそく販売されていたチケットを思わず購入し、そうして新宿を後にしたのでした

 

<イベント詳細>
大森靖子の続・実験室 〜vol.6〜大森靖子と増田ぴろよの現代美術討論会 – LOFT PROJECT SCHEDULE

*1:

巴里の憂鬱 (新潮文庫)

巴里の憂鬱 (新潮文庫)