個人日誌2021/01/11

バシュラール『瞬間と持続』*1を第二章まで読んだ。文章がちょっとわかりづらくて一度ですっと入ってこないこともあるが、語られている内容に関しては満足している。

バシュラールはこの本で「時間とは瞬間である」とするルプネルの思想を、ベルクソンの「持続」の観念との対比において解説している。ルプネルという思想家のことはまったく知らなかったが、ぼくがぼんやり感じていること*2(というかほとんど願望)が、彼の思想として紹介されていて興味が湧いた。バシュラールを介さずに直接ルプネルの著書である『シロエ』に当たりたかったが、邦訳がないようなのでとりあえず保留にしている。

ちょっと前に「談」という雑誌の因果論の号*3を読んだ。これはカルロ・ロヴェッリの『時間は存在しない』*4を元に識者がそれぞれの分野で語っているものなんだけど、時間の非連続性を肯定的に捉えていたり、因果は空想だとするように考えている点で、バシュラールと同じような話をしていた。

バシュラールについてはずっと気になっていた。たまたま古書店で安く並んでいたのを見つけて購入したのが『瞬間と持続』だった。バシュラールの名前だけで買ったようなものなので、内容については意識の外だった。「談」を読んで、こういう話を掘り下げていきたいなあと思っていた矢先だったので驚いた。結果的にはバシュラールを読むタイミングとしてベストだったと思う。

*1:

*2:「過去も未来も存在しない」とか「記憶はいま構成されている」とか、要するに「時間とは瞬間である」というアイデアとそれに付随して発生するだろう考えのこと

*3:

この雑誌は各号のテーマの専門家にしたインタビューを元に記事が作られていて、とても読みやすい。本来むずかしいはずの話を、理解したとは言わないまでも簡単なイメージでなんとなく把握することはできる。「専門外だが興味はある。でも専門書は難しい」という層が読むと面白く感じられると思う。ぼくはかなり面白く読めた。

談no.117 因果論の戯れ

談no.117 因果論の戯れ

 

*4:

 未読。日本でもそこそこ売れたらしい。近いうちに読みたい。

時間は存在しない

時間は存在しない