個人日誌2021/02/11

詩人はおそらく人生の外を生きていることに自覚的な人種のことなのだろうと思う。ぼくが詩人というときの詩人はなにかしら象徴主義的な気質を持っている気がする。

生まれてから死ぬまでを一般的に人生というが、詩人の魂はそれ以前の「永遠」としか形容できないすべてに通底したスペースに生きている。「それ以前」とは時制的な意味ではなく、その土台とか素材とか原料のようなニュアンスであり、そこでは「生まれる前」や「死んだ後」などという時間的な区分は存在しない。目の当たりにしている有限世界の合理性に縮こまっていることがむしろ不合理に感じられるような性質を持ち、その直観的に不合理である合理性に本能的に我慢ならないのが詩人であり、それらが象徴であるという解釈において彼らはやっと自分に立ち帰れると感じた。彼らの詩は魂の強力なノスタルジーの牽引力によって生み出されている。

有限の世界から見れば、詩はなにかしら蠱惑的な世界の存在を示唆しており、それを感受可能な人からすれば、狭い合理性とは無関係な魅力、その魅力自体が根拠となる魅力を放ち続ける。