個人日誌2021/01/20

ドストエフスキー『賭博者』*1を読んでいた。めちゃくちゃおもしろい。話の筋自体は取り立てて珍しいものでもないし、たぶん登場人物がてんやわんやしてるってのが単純によかったんだろうな。

ぼくの場合、行き過ぎた思想を持ってたり、ある種の覚悟が感じられるキャラクターが出てくると作品に対する評価が甘くなる傾向がある。後期ドストエフスキーの本流である思想性の強い作品群だったら、『地下室の手記*2『悪霊』*3罪と罰*4なんかはその系列にあって、どれも名作だ。『賭博者』がいつ書かれたものなのか知らないが、ぜんぜんそういう系列の作品ではなかった。思想なんかはぜんぜん感じられない。ぼくは完全にエンタメとして読んだ。

裏表紙の作品解説には「ドストエフスキーは、本書に描かれたのとほぼ同一の体験をしており」という記述がある。本当かよとも思うけど、少なからずこの作品を発想するだけの出来事はあったのだろう。これを書く際のドストエフスキーは、思想云々ではなく、(実体験としてはやや神がかり的な)その体験を作品として残しておきたかったのだと思う。

もうちょっと中身について書きたいところだけど、いま書くのはややヘヴィーなので、良い機会を待つことにする。

もうちょっとで読み終わるところまできた。明日にでも読み終えてしまいたい。

*1:

賭博者 (新潮文庫)

賭博者 (新潮文庫)

 

*2:

地下室の手記 (光文社古典新訳文庫)
 

*3:

悪霊 1 (光文社古典新訳文庫)

悪霊 1 (光文社古典新訳文庫)

 

*4:

罪と罰 1 (光文社古典新訳文庫)

罪と罰 1 (光文社古典新訳文庫)